ご挨拶

理事長挨拶

国際個別化医療学会理事長 阿部 博幸

 2012年11月10日(土曜日)、第15回国際個別化医療学会学術集会を、生命科学振興会理事長 渡邊 昌会頭のもと、東京国際フォーラムにおいて開催できますことを、皆様方に深く感謝申し上げます。

 21世紀医学の進歩は目覚ましいものがあり、実際、パーソナライズド・メディシンの発展を後押しするトランスレーショナルリサーチは急速に進歩してきました。それまで副作用の激痛や時間との戦いに耐えて治療の可能性に賭けてきた患者は当然ながら、医療従事者、製薬企業、医療行政にとっても、個別化医療の実現は急務であるという認識は一致しております。しかしながら、医療の現場において、パーソナライズド・メディシンの概念を臨床に反映させるための知識の習得については、まだまだ不十分であると言わざるを得ません。
そこで、第15回学術集会は、メインテーマを「パーソナライズド・メディシンの現在と未来」とし、現在、国内外の臨床現場の最前線において実践されている個別化医療の手法や技術、研究、さらには未来像の追究を取り上げ、議論の展開をはかります。
世界的な動向を踏まえ、ゲノムとバイオマーカーという2つの大きな方法論を柱とし、かつ、個人のおかれている環境(住環境・経済環境・家族環境など)や人生観、死生観などを取り入れた上で、患者の病態を勘案して治療を行うという考えが、本学会の考える「個別化医療」です。さらには、コアとなる治療を見据えた上で、それを支えるサポーティブテラピー(漢方、点滴療法、温熱療法など)、サポーティブケア(音楽や運動、マッサージ、栄養療法など)も一緒に育てていくことが個別化医療の発展にとり重要であると考えます。

 国際個別化医療学会は、臨床の現場へ、21世紀の医療の発展に対応した知識の収集とその理解を促し、さらなるパーソナライズド・メディシンの発展のために、情報発信地としての重要な役割を今後も果してまいります。
本学会員の多くの先生方のご参加はもとより、これからの日本の医療を担う若い医師やコメディカル、学生をはじめ医療に携わる幅広い方々のご参加を心よりお待ちしています。

会頭挨拶

第15回国際個別化医療学会学術集会会頭 渡邊 昌

 西洋医学に基盤をおいて発展してきた近代医学は現在、さまざまな面で壁に行き当たっています。病気の原因を分子レベルで追求できるようになり、今まで病理形態のみではわかりにくかった病気のメカニズムを明らかにできるようになりました。また、治療法のメニューが豊富になり、新しい治療法が次々に開発されていきますが、診療現場では医療保険の制約があり、臨床の現場に取り入れられません。がん治療ひとつとっても個人の体質やがんの成り立ちによってがん細胞の個性は異なります。ガイドラインに盲従するのみでなく、患者の体質や個性に適合させ、患者の尊厳やスピリチュアリテイを尊重する医療が求められています。
 本学会では自然界との共生の立場からもっとも重要な栄養・食養学から入り、免疫状態が密接に関係する関節リウマチや増加している心・血管疾患への個別化医療、心理的側面を重視した音楽療法の可能性、がんの個別化医療などのテーマについて特別講演を依頼しました。また、ファーマコゲノミックスによる新薬政策の展望により、個別化医療に必要な薬剤開発の現状と展望を知りたいと思います。
 一日の学術集会ですが、個別化医療の先端を学び、情報交換会にも積極的にご参加ください。

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