ご挨拶

理事長挨拶

一般社団法人国際個別化医療学会 理事長 阿部 博幸

 2013年11月4日(月曜日)、第17回国際個別化医療学会学術集会を、兵庫医科大学先端医学研究所教授 後藤 章暢 会頭のもと、神戸国際会議場「国際会議室」において開催できますことを、皆様方に深く感謝申し上げます。

 第17回学術集会はメインテーマを「パーソナライズド・メディシンの実践-ここまで進んだ個別化医療のイノベーション」といたしました。
 個別化医療の発展に、トランスレーショナルリサーチの推進は不可欠です。近年のトランスレーショナルリサーチをめぐる大学や研究機関、医療機関の動きは、附属研究センターの新規設置や新たな外部機関との提携、サポート機関ネットワークの構築、国家プロジェクトへの参入など、非常に活発なものがあります。"From Bench To Bed Side"、基礎研究の成果をいかに臨床に還元していくか。臨床応用のための研究には、倫理性、科学性、安全性や社会性などの議論の中に越えるべきいくつものハードルがあります。欧米に比して大きく遅れをとっている我が国の現状を打開するには、あらゆる学問の領域を横断して叡智を結集させたシームレスな研究、臨床体制の整備・構築を、国を挙げて推進していくことが重要であると考えます。
 本学術集会では、個別化医療への革新的な取り組みに焦点をあて、臨床応用のための研究や治療戦略の実際について議論を深めてまいります。多くの臨床経験を経て、新しい発見や治療法がいかに生まれ確立されていくか、共に学び参加者共通の認識とし、個別化医療へのさらなる理解が深まることを期待しております。
 本学会が昨年末発行した「個別化医療テキストブック」は、あらゆる疾病について個別化医療への理解を広げる書といえます。個別化医療がすでに常識となっている領域は日々増えていっております。要求される知識が膨大になっている今日、効率的に学び臨床に役立てていただければ幸いです。

 まさにメディカルイノベーションにふさわしい神戸の地で、活発な議論が展開され、参加者の皆様の記憶に残る学術集会となることを期待しております。
 本学会員の多くの先生方のご参加はもとより、これからの日本の医療を担う若い医師やコメディカル、学生をはじめ医療に携わる幅広い方々のご参加を心よりお待ちしています。

会頭挨拶

第17回国際個別化医療学会学術集会 会頭 後藤 章暢

 第17回学術集会はメインテーマを「パーソナライズド・メディシンの実践-ここまで進んだ個別化医療のイノベーション」とし、メディカルイノベーションの国家的プロジェクトの中心であります国際都市・神戸の地にて開催させていただけることを光栄に存じます。
 会場である神戸国際会議場周辺エリアで進められております『神戸医療産業都市構想』は、人工島のポートアイランド第2期を中心に展開され、阪神・淡路大震災の被害と経済不況の中から神戸市を再活性化する目的で構想されたものであります。平成10年に「神戸医療産業都市構想懇談会」が設置され、基本構想の検討が開始されてから、今年で15年が経過しました。本構想の基本コンセプトとして、基礎医学の成果を効率的に臨床に移して医療に貢献するための「橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ)」施設をポートアイランド第2期に整備し、先端的な医療を市民に提供するとともに新産業を創出することにより、神戸経済の活性化、市民の健康・福祉の向上、国際社会への貢献を目指すことが提言されました。その後、神戸健康科学(ライフサイエンス)振興ビジョンが策定され、この中で、トランスレーショナルリサーチの一層の推進とともに、それを産業に結び付けて成果を挙げる「メディカルイノベーション」の実現が提言されました。そのための推進力として、基礎研究の成果をより迅速に臨床に生かしていくための専門病院群からなる「メディカルクラスター」の形成が重要であり、現在、複数の国家的プロジェクトが展開されています。このようなことから神戸は本学術集会のテーマに最適な開催場所であると考えております。
 個別化医療とは、端的にいえば患者個々に最適な治療法を選択して治療するということになりますが、複数の新しい技術を統合して臨床的ケアに生かしていく治療という意味も含んでおり、今日では個別化医療に対する関心はますます高まりつつあります。分子生物学やバイオテクノロジーの飛躍的な技術進歩のおかげで個別化医療は実現可能な選択肢となってきましたが、依然として、学界、産業界において誤解があるのも事実であります。個別化医療の基盤を明らかにし、応用へと導く適切な情報源も未だ不足しています。残念なことに我が国の個別化医療の臨床応用における状況は大きく遅れていると言わざるをえません。
 そのため、本学術集会では、さまざまな疾病への個別化医療の革新的な取り組みに焦点をあてた臨床応用のための研究や実践的アプローチの発表等への議論を通して、個別化医療に対する理解を深め、領域横断的に個別化医療の実践を捉え、知識・技術習得の機会提供に努めます。
 より多くの研究者や臨床家が本学会に集い、明日の医療を創造し、議論する場となることを、祈ってやみません。
 最後に、「おしゃれな街」神戸で「個別化医療の未来」を明るく語るとともに、港町や異国情緒あふれる街並みなどの名所旧跡とスイーツに代表される神戸の名物料理をご満喫いただけましたら幸いです。晩秋の神戸で皆様にお会いできることを楽しみにしております。

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