ご挨拶

理事長挨拶

一般社団法人国際個別化医療学会 理事長 阿部 博幸

 2014年11月15日(土曜日)、第19回国際個別化医療学会学術集会を、三番町ごきげんクリニック 院長・東海大学医学部血液腫瘍内科 非常勤講師 澤登 雅一 会頭のもと、御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターにおいて開催できますことを、皆様方に深く感謝申し上げます。

 第19回学術集会はメインテーマを「個別化医療の戦略的展開」といたしました。
昨年12月、ロシア保健・社会開発省の管轄機関からの招待により、モスクワで開催された国際学会「Strategy for Personalized Medicine and its development in Phthisiopulmonology」に出席し、「Personalized Medicine:yesterday, today, tomorrow」という演題で講演をしてまいりました。その会議の中でも積極的な討論が行われておりましたが、国際会議でよく耳にするPPPM(Predictive, Preventive and Personalized Medicine)という言葉の通り、グローバルな視点でみると、医療のパラダイムシフト-個別化医療への流れは、疾病の治療から積極的な予測、予防医療(個別化予防)へと、次のフェーズに移行しています。個別化医療における予防医療の考え方は、病気であると診断されるより前の段階で、遺伝子診断やバイオマーカーなどの指標を基に、将来の疾病への罹患リスクを把握して発病を防ぐというものであり、先制医療を包括しております。こうした欧米の個別化予防への取り組みは、日本とは比較にならないほど加熱しています。これには医療費負担の問題が深くかかわっていると考えますが、世界一の超高齢社会を迎えている日本こそが、もっと真剣に取り組まなくてはならない課題なのではないでしょうか。
本学術集会では、新しい医療戦略としての個別化医療の研究と、臨床領域における実践的アプローチの最新情報の発表を通して、知識・技術習得の機会を提供いたします。国内からは、エムバイオテック株式会社の松田和洋先生、広島大学大学院 細胞分子生物学の田原栄俊先生に、新しい医療戦略について論じていただき、海外からはロシアより個別化医療の第一人者であるSergey Suchkov先生に、新しい医療モデルとしてのPPPM(Predictive, Preventive and Personalized Medicine)について、腫瘍細胞解析で著名な研究者であるギリシャのIoannis Papasotirious先生には、エピジェネティクスと癌幹細胞との関係性についてご講演いただきます。また、今回もプラクティカルセッション(シンポジウム)を、より広い臨床領域において企画しました。参加者の皆様と一緒に学んでいきたいと考えております。

 2年ぶりに東京で開催する学術集会となります。会場には、各地の会員の皆様にもわかりやすいよう、交通の便が良く文化の香り立つ「御茶ノ水」の地を選びました。熱気あふれる学術集会となることを期待しております。
多くの会員の皆様のご参加はもとより、これからの日本の医療を担う若い医師や研究者、コメディカル、学生をはじめ医療に携わる幅広い方々のご参加を心よりお待ちしています。

会頭挨拶

第19回国際個別化医療学会学術集会 会頭 澤登 雅一

 このたび、第19回国際個別化医療学会会頭を拝命致し、2014年11月15日(土曜日)、東京御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターにて開催させていただくこととなりました。多くの先生方のご支援を賜りまして開催させていただくことは大変光栄なことであり、あらためて深く感謝申し上げます。

 本学術集会のテーマは「個別化医療の戦略的展開」です。疾患の多くは、遺伝要因に環境要因が加わることによって生じることは周知のことですが、近年のゲノム科学の進歩によって、遺伝要因に対する理解は急速に深まり、さまざまな疾患の発症メカニズムの解明や、新たな治療法の可能性が広がっています。一方、食事・運動といった生活習慣が後天的な発症原因として重要であることは言うまでもありません。さらに、大気や土壌の汚染、電磁波の問題など、現代は、今までに経験のない環境要因が多く存在し、新たな『環境病』の原因となっています。生活習慣や環境は、エピジェネティックな働きで遺伝子発現の制御にも影響を与えることがわかっています。ジェネティック・エピジェネティックな関与を総合的に理解することは、新しい個別化アプローチを確立するのに必須と言えます。
本学術集会では、ゲノム情報をもとにした疾患発症のリスク、予防、診断、治療、また、疾患の予防、治療に対するエピジェネティックなアプローチについて、最先端の基礎的な研究内容から、すでに臨床に応用されている内容にいたるまで、国内外の専門の先生方からご講演をいただきます。最先端の情報を知る場としてだけでなく、臨床の先生方には、すぐに日々の診療に活用できる内容も多く含まれていると考えております。この学術集会により、「個別化医療」の概念と重要性がより一層理解され、それぞれの領域で実践されていくきっかけとなることを期待しています。

 11月は学会シーズンでもあり、皆様ご多忙とは存じますが、より多くの先生方が学問と歴史と文化の街として名高い「御茶ノ水」の地に集い、本学術集会が個別化医療の未来に向けての活発な議論する場となることを願っております。

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