ご挨拶

会頭挨拶

第25回国際個別化医療学会学術集会 会頭 椙村 春彦

 本年、第25回国際個別化医療学会学術集会開催を担当させていただきます。個別化医療、personalized medicine、precision medicineと、名称についてはさまざまな呼ばれかたをしていますが、現在の医療がゲノムを基本として組み立てられつつあることは周知の事実です。今学術集会のテーマを「ゲノム医療は現実化するか」といたしました。
 全国、津々浦々の医療現場で、日々の医療に従事している医師、看護師、患者さん、病理医、検査医、遺伝カウンセラーの方々にとって、直面する「ゲノム医療」への感じ方や対応の仕方はそれぞれ異なるかと思います。特に後三者の職種については、不在のままがん治療を行っている医療機関も多く存在しています。そうした様々な事情を抱えた医療機関や医療従事者の皆さん方が、個別に、独自に、ゲノム医療に取り組んでいるのではないかという認識があるため、テーマを「現実化するか」とあえて疑問形にしました。今学術集会では、本邦のゲノム医療の司令塔である国立がんセンターの中釜理事長をはじめ、検査分野、病理分野の中枢で先導している先生がた、さらに連携しながら地方で実践をしている先生がたにもご登壇いただきます。活発な意見交換の場にできればと思っております。
 ゲノム医療は、治療分野でのインパクトが非常に大きく報道されますが、リスク評価や、薬剤投与(pharmacogenetics)、予防医療に関しても前世紀から多くの研究や応用が発表されてきました。しかしながら、教育や、臨床の現場で、そのような基本的な知識が公知として共有されているかどうかは少々疑問です。大学などの教育機関においても、腫瘍学や遺伝学の位置付けが定まっているわけではなく、そのようなゲノム医療を支える学問がカリキュラムにどのような形ではいっているか、あるいは、対象とする疾患が臓器横断型の領域である場合、その診療・教育体制がスムーズに組めるのかなど、ゲノム医療を重点的に学ぶ、またその進展のための情報発信可能な確立したモデルがあるわけではありません。もちろん、都市にある拠点とされる大型医療施設と地方の医療機関との人材を含めたリソースの格差、さらに外に目を向ければ国際競争、医療コストなど本邦の抱える諸問題が、今後のゲノム医療の推進にすべて関わっていくことは間違いございません。
小さな学会ではありますが、十分な情報交換と活発な討議を行っていきたいと考えております。
東京芝大門の日本赤十字本社ビル大会議室で、皆様にお会いできますことを楽しみにしております。

理事長挨拶

一般社団法人国際個別化医療学会 理事長 阿部 博幸

2019年10月20日(日曜日)、第25回国際個別化医療学会学術集会を、浜松医科大学医学部 腫瘍病理学講座 教授 椙村 春彦 会頭のもと、東京都港区 日本赤十字本社ビル大会議室において開催できますことを、皆様方に深く感謝申し上げます。第25回学術集会はメインテーマを「ゲノム医療は現実化するか」といたしました。

いよいよ2019年本年より、ゲノム医療が本格的に始動いたします。「がんゲノム医療」とはゲノム情報に基づくがんの個別化医療戦略の一つであり、治療の最適化・予後予測・発症予防を可能にする医療として認識されております。 我が国の「ゲノム医療」は現在どのような方向に進んでいっているのか、社会実装の途上、どのような医科学的・社会的・倫理的課題が発生しているのか、今後発生しうるのか、また、個別化医療を加速させる解析・診断技術の進展など、ゲノム医療・個別化医療への理解を深めるための一日となることは間違いございません。
今学術集会では、椙村 春彦 先生が基礎から実践的な課題までを網羅した大変意欲的なプログラムを企画してくださいました。
参加者の皆様の熱く深い議論を期待しております。

多くの会員の皆様のご参加はもとより、これからの日本の医療を担う若い医師や研究者、コメディカル、学生をはじめ医療に携わる幅広い方々のご参加を心よりお待ちしています。

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