第30回国際個別化医療学会学術集会

ご挨拶

会頭挨拶

第30回国際個別化医療学会学術集会 会頭
京都大学名誉教授 森谷 敏夫
中京大学スポーツ科学部

 この度、第30回国際個別化医療学会学術集会会頭を拝命しました京都大学名誉教授の森谷敏夫です。
 本学術集会のテーマを「次世代の予防医療-Thrive, not just survive」といたしました。
 1976年にDr. Robert N Butler教授は、“If exercise could be packed into a pill, it would be the single most widely prescribed and beneficial medicine in the nation.”( Int J Aging Hum Dev; 8:193-195, 1977)「もしも運動を薬として詰め込めるのなら世界中で最も広く処方される効果的な薬となるであろう。」と述べ“Exercise as Medicine”(薬としての運動)の概念を提唱されました。その後の研究により、運動中の筋肉から数多くの生理活性物質(マイオカインズ)が放出され、生活習慣病の予防・改善に果たす役割が大きくクローズアップされてきました。しかしながら、世界中の高齢者や患者でサルコペニアや廃用性筋萎縮などで運動が十分に行えない人々や、糖尿病性合併症や心血管系合併症、その他の整形外科的拘束によって運動が制限される方々も多く存在します。これらの運動弱者の人々にも、運動効果を享受できる未来型の運動療法の確立と普及が強く求められています。
 今回の学術集会では、会頭講演と教育講演で、高齢者や疾患によって運動が制限される人々などに筋肥大、エネルギー代謝、認知機能などの改善効果を享受しうる他動的運動療法(骨格筋電気刺激療法)や、臓器移植後の患者のリハビリ、早期離床を目指す臨床応用の講演を予定しております。また後半のディスカッションでは、個別化予防の基礎と臨床をテーマに、ご専門の先生方にご登壇いただき、医療AI、運動・栄養処方、漢方の分野の講演をしていただきます。活発な議論が展開されることを期待しております。皆様のご参加を心よりお待ちしております。
 本学術集会が個別化医療に「次世代の予防医療」も含めた新たな視点が芽生えることを祈念して、会頭挨拶とさせていただきます。

理事長挨拶

阿部 博幸(Hiroyuki Abe)
一般社団法人国際個別化医療学会 理事長
President, International Society of Personalized Medicine

2025年12月7日(日)、第30回国際個別化医療学会学術集会を、京都大学名誉教授 森谷敏夫 会頭のもと、東京都千代田区内神田のアーバンネット神田カンファレンスにおいて開催できますことを、大変嬉しく思います。また、会員皆様方のご理解とご協力に深く感謝申し上げます。

「健康日本21(第三次)」で重視されているライフコースアプローチは、健康とは生涯にわたって蓄積的に形成されるものであるという視点に立ち、胎児期から高齢期に至るまでのあらゆるライフステージにおいて、健康づくりへの取り組みが求められます。
この考え方は、健康的な高齢化の実現や、各ライフステージに応じた適切な介入の設計といった、今日の予防医療における重要な柱となっています。
さらに、近年進展している個別化予防では、個人の健康履歴、遺伝的背景、生活環境といった情報をもとに、一人ひとりに最適化された予防戦略を立てることが可能になってきています。 こうしたアプローチは、病気になる前に介入し、より質の高い人生を実現するための基盤として、今後ますます重要になると考えられます。

第30回学術集会では、「次世代の予防医療」というテーマを取り上げていただきました。健康寿命の延伸に不可欠な「予防医療」はまさに進化の時代を迎えております。骨格筋電気刺激療法をはじめとする運動療法とその臨床応用について、参加者の皆様と知識を共有していきたいと考えております。また、遺伝子や生活習慣、環境要因等から疾患リスクを評価し、個々人に最適な予防策を導き出す「個別化予防」の医療戦略についても、一緒に学んでいきたいと思います。活発な情報交換を期待しております。

当日は、多くの会員の皆様のご参加はもとより、これからの日本の医療を担う若い医師や研究者、コメディカル、学生をはじめ医療に携わる幅広い方々のご参加を切に願っております。皆様のご理解・ご支援のほどよろしくお願いいたします。

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