国際個別化医療学会誌

国際個別化医療学会誌
巻頭言
新時代に入った統合医学
 統合医学は「個の医学」であり,生命の持続性 Sustainability を支えるという根本的な理念に基づいている。すでに補完・代替医学の域を超え新しいパラダイムが展開されている。そのエッセンスは,国際統合医学会誌(Vol. 1, 2009)の巻頭言に示されているごとく,
(1) 身体と心の統合
(2) 診断や治療分野での西洋医学やエビデンスのある伝統医学その他の種々の手法の統合
(3) 医療機関や施設との提携的統合
(4) 医学,医療,保健,福祉,介護,教育などの多職域との協働的統合
(5) ライフステージにおける経時的統合
である。
顧みれば,統合医学の分野に新しい先端医療が組み込まれつつあり,本邦においても高濃度ビタミンC点滴療法,キレーション療法,樹状細胞がんワクチン療法などが次々と登場している。これらは研究歴も長く,臨床的なエビデンスもしっかりしていることから重要なツールになると考えられる。そして,今日的視点からみて,これらの先端医療のみならず,あらゆる医療についてエビデンスが求められているところであるが,ゲノム医学に基づいた真のエビデンスを希求してゆくことの重要性を痛感している。
統合医学は発展し続けており,コンセプトの理解や種々の手法の習熟のための研修制度の確立が望まれるところである。国際統合医学会は広い視野に立ち開かれた修学の場として,今後多くの人々の期待に応えてゆくことを提示してゆきたい。また,統合医学を受け入れる人々の真の幸せの実現こそが,本学会の使命でもあり,その意味において市民参加型の医学へと発展し続けることを祈念している。
一般社団法人 国際統合医学会(ISIM)
理事長 阿部 博幸
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