国際個別化医療学会誌

国際個別化医療学会誌
総説
生活習慣病における運動と栄養の役割
The Role of Exercise and Nutrition in Lifestyle-related Diseases
森谷 敏夫
京都大学大学院人間・環境学研究科
 慢性的な運動不足が,メタボリックシンドロームに総称されるような肥満症,糖尿病,高血圧症,高脂血症などの「死の四重奏」と密接な関係にあることは良く知られている。中年女性に認められる“中年太り”は加齢や閉経に伴う自律神経活動の低下と強く関連しており,高脂肪食や不規則な食事パターンによっても熱産生に関与する自律神経活動が影響を受ける可能性が考えられる。我々の一連の研究から,自律神経活動は可逆性を持っており,脂質代謝や食欲調節機能の中枢である自律神経活動の低下に起因する中年肥満も習慣的な運動の励行によって予防できることが強く示唆されている。つまり,習慣的な運動は糖代謝亢進のみならず肥満や食欲調節機構に作用する自律神経活動の亢進効果も備えており,食事療法とともに不可欠なものである。まさに厚生労働省生活習慣病対策室が推奨している「1に運動,2に食事,しっかり禁煙,最後にクスリ」である。
■Key words:運動療法,肥満・メタボリック症候群,自律神経,筋由来生理活性物質
■連絡先 京都大学大学院人間・環境学研究科 〒606-8501 京都市左京区吉田二本松町
TEL:(075)753-6888 FAX:(075)753-6888
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