
国際個別化医療学会誌
国際個別化医療学会誌
総説
癌予防のための脂質栄養
癌予防のための脂質栄養
Lipid Nutrition for the Prevention of Cancer
奥山 治美
金城学院大学薬学部,「脂質栄養」オープンリサーチセンター
発癌は細胞増殖に関わる遺伝子の変異(イニシエーション)の過程と,細胞内外の因子により影響を受けるプロモーション以後の過程に分けて考えられる。脂質栄養はこの両過程に影響を及ぼしうる。現時点では発癌と転移に関わる三つの脂質因子が考えられる。一つは摂取脂肪酸のリノール酸(ω6)系とα-リノレン酸(ω3)のバランスである。このω6/ω3比が高いとアラキドン酸カスケードが亢進し,炎症の持続により生じる活性酸素が遺伝子傷害と細胞増殖を促進する。第二は植物油脂に含まれる未同定因子であり,数種の植物油は脂肪酸組成で説明できない異常な発癌プロモーション作用を示す。第三はコレステロール合成のイソプレニル中間体に関わる。そのレベルの上昇が発癌遺伝子産物を活性化して細胞増殖を促進する一方,スタチン類による合成阻害がNK細胞活性を抑えて発癌を促進する。このような観点から,癌予防の脂質栄養を提案する。
■Key words:癌,予防,脂肪酸,植物油,プロモーション,コレステロール
■連絡先 金城学院大学薬学部 〒463-8521 名古屋市守山区大森2-1723
TEL:052-798-7479 FAX:052-798-7479
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