
国際個別化医療学会誌
国際個別化医療学会誌
総 説
癌性悪液質の最近の進歩
癌性悪液質の最近の進歩
Recent Advances in the Pathogenesis and Treatment of Cancer Anorexia-Cachexia syndrome
乾 明夫,網谷 東方,浅川 明弘
鹿児島大学大学院 社会・行動医学講座 心身内科学分野
体脂肪組織からその量に応じて放出されるレプチンは,体脂肪の蓄積状況を脳内に伝えるシグナルであり,視床下部に存在する食欲調節物質を介して,体重(体脂肪量)を一定に保持するというフィードバックループの存在が証明された。食欲不振や体重減少を主徴とする癌性悪液質は,担癌生体から放出されるサイトカインの過剰病態と考えられ,この過剰なレプチン様シグナルが飢えに対する生体の応答を阻害し,持続的な食欲不振,基礎代謝量の亢進,体重減少を引き起こす。
癌性悪液質の治療は,食欲を増加させ,体脂肪や筋肉の崩壊を阻止し,QOLの維持,向上をはかるとともに,化学療法や放射線療法の耐性を高め,予後を改善することにある。サイトカインによる過剰なレプチン様シグナルを是正し,食欲・体脂肪量調節ループを適切に作動させることが治療の目標となる。疼痛,疲労,抑うつといった癌の周辺症状とあわせ,心身両面から包括的な治療を行う必要がある。
癌性悪液質の治療は,食欲を増加させ,体脂肪や筋肉の崩壊を阻止し,QOLの維持,向上をはかるとともに,化学療法や放射線療法の耐性を高め,予後を改善することにある。サイトカインによる過剰なレプチン様シグナルを是正し,食欲・体脂肪量調節ループを適切に作動させることが治療の目標となる。疼痛,疲労,抑うつといった癌の周辺症状とあわせ,心身両面から包括的な治療を行う必要がある。
■Key words:悪液質,統合医療,心身相関,サイトカイン
■連絡先 乾 明夫 鹿児島大学医歯学総合研究科 心身内科学分野 890-8520 鹿児島市桜ケ丘 8-35-1
Tel: 099-275-5751 Fax: 099-275-5749 Email: inui@m.kufm.kagoshima-u.ac.jp
本研究は株式会社ツムラとの間に利害関係を有す。
■連絡先 乾 明夫 鹿児島大学医歯学総合研究科 心身内科学分野 890-8520 鹿児島市桜ケ丘 8-35-1
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